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中小企業も人的資本開示に取り組んだ方がいいのでは!?

2025/1/29

中小企業も人的資本開示に取り組んだ方がいいのでは!?

  • # 構想を支える

はじめに

経営者の方々から、「人的資本開示」という言葉は聞いたことがあるものの、自社にとって本当に必要かどうかがピンとこない、というご相談をいただくことがあります。特に中小企業では、大手企業ほどのリソースがないため、「うちには関係ない話では?」と感じるかもしれません。しかし、実際には中小企業だからこそ、人的資本開示が事業の成長を後押しする力になる可能性が高いのではないかと思うのです。


人的資本開示とは?

人的資本開示とは、社員の採用・育成・働き方などに関する情報を社内外に発信し、経営の透明性を高める取り組みです。近年、企業の持続的成長には「人と組織」の戦略が欠かせないと考えられ、特にESG投資の高まりや無形資産の重要性が増す中、欧米を中心に開示の義務化が進んでいます。日本でも2023年3月期決算から、上場企業に対して人的資本の情報開示が義務付けられました。

一方で、開示義務は上場企業に限られ、開示方法や内容についても統一されたルールがなく、企業ごとに適切な情報開示の方法を検討する必要があります。そのため、「どの情報をどのように開示すればよいのか分かりづらい」という課題も指摘されています。ただし、この点については企業が柔軟に最適な開示方法を考えられると捉えることもできます。

本コラムでは、開示義務のない企業の経営者や人事担当者が、「自社にとって人的資本開示はどのように活用できるのか?」を考えるためのポイントをまとめました。


人的資本開示の4つのメリット

1. 事業目標を達成するための「人と組織」の課題を整理する

企業が掲げるビジョンや事業目標は、そこで働くメンバーの活躍と協働・共創によって実現されていきます。では、目標を達成するための人材が揃っているかどうか、また、人材の活躍や協働・共創が十分に機能しているかを把握するにはどうしたらよいのでしょうか?人的資本開示は、企業の目標達成に向けた「人と組織」の現状を可視化し、潜在的な課題を浮き彫りにするきっかけとなります。

例えば、ある製造業では、毎年一回、経営戦略の実現に向けて必要となる人材ポートフォリオを明確にし、採用すべき人材の質と量を全社的に洗い出しています。そして、必要な人材のうち採用や育成で確保できない場合には、他企業との連携や外部専門家の活用といった選択肢を検討しています。

また、食品製造業の例(*1)では、新卒採用が難しくなる中、社内の人材ポートフォリオを再考し、女性社員が主に裏方業務に従事し、活躍の機会が限られていることを「人と組織」の課題として捉えました。そこで、女性社員たちを選抜し、新商品開発チームを結成したところ、これまでにないアイデアが続々と生まれ、売上増加に寄与する成果が得られました。

このように、人的資本開示は「人と組織」の課題を明確にし、企業が掲げるビジョンや事業目標に向かう新たな道筋を作り出すきっかけとなります。


2. 社員の信頼とエンゲージメントの向上

社員にとって、職場環境やキャリア形成に関する情報が開示されることで、会社への信頼が高まります。

例えば、人事担当者が「うちの会社はチャレンジしていけば早く昇進できる!」「子育てしていても働きやすい環境づくりを推進している!」と伝えるよりも、人的資本開示として「現在の最年少執行役員は38歳」「働きながら子育てしている女性は32%、男性は35%」といった客観的な数字を示した方が、社員は会社に対する信頼を抱きやすいのではないでしょうか。

さらに、人的資本に関するデータを共有することは、社員間の対話を活性化させるきっかけにもなります。あるIT企業では、エンゲージメントスコアを全社員に公開し、その結果をもとにした対話と議論を定期的に実施しました。これにより、社員に当事者意識が生まれ、具体的な改善策が迅速に実行される仕組みが整いました。


3. 将来の仲間(求職者)にとって大切な判断材料を共有する

求職者にとって、人的資本開示は「この会社で働くべきか」を判断する大切な情報源になります。ある調査(*2)によると、就職や転職を考える人の6割以上が、企業の風評を入社の判断材料にしていると報告されています。つまり、求職者は第三者が発信するネガティブな情報も参考にしているのです。

例えば、過去に退職した社員が「この会社は離職率が高い」と口コミサイトに投稿したとします。企業側がすでに改善策を講じ、問題が解決されていたとしても、人的資本開示を通じてそれを公表していなければ、古い口コミの印象が判断材料として残り続ける可能性があります。

また、自社の競合として人的資本を開示している大手企業が並ぶ場合、それらの企業と比較して自社が求職者にどのように見られるかを意識することも重要です。求職者は、情報をもとに企業を比較検討します。人的資本開示を行うことで、自社の価値観や姿勢に共感する人材をより惹きつけやすくなります。


4. ステークホルダーの信頼構築

人的資本開示は、取引先や顧客、地域社会といったステークホルダーとの信頼構築にも寄与します。近年では、企業が不祥事を起こすと取引先が契約を打ち切るケースも珍しくありません。人的資本開示は、その企業の「人と組織」におけるリスクを判断する重要な情報源となります。透明性の高い情報を公開することは、企業の真摯な姿勢を示す最良の方法の一つであり、ステークホルダーに対して信頼できるパートナーであることを示す有効なアプローチとなります。


実践のための第一歩

人的資本開示を始めるにあたり、最初の一歩としてChatGPTを活用したディスカッションをおすすめします。以下のような質問から会話をはじめ、自分にとってしっくりくる「ネクストアクション(具体的な行動)」を見つけてみてください。

自社の人的資本開示を進めるにあたり、あなたから質問をもらいながらディスカッションを進め、思考と気持ちを整理し、ネクストアクションを決めたいと思っています。最初の質問をいただけますか?

なお、条件として以下を考慮してください。

・質問や助言などのメッセージは200文字程度にまとめてください。

・回答しやすいように、複数の回答例をあわせて提示してください。

・文体は優しく、寄り添った形で進めてください。

中小企業は大手に比べて経営資源が限られており、人材の採用・育成・定着が事業の成長に直結します。人的資本開示によって「今いる人材の活かし方」や「求める人材の明確化」が進み、組織の方向性を整理できます。また、透明性を高めることで社員の信頼や求職者の関心を引き、競争力のある組織づくりにつながります。

一歩ずつ取り組むことで、ぜひ自社の可能性を広げるチャンスをつかんでください。


参考:

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